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2025.10.31コラム

緩和ケアとは?看取りケアの違い、がん患者と家族のためのケア解説

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緩和ケアとは?

がんと診断された際に耳にする「緩和ケア」という言葉。具体的にどのようなものか、正しく理解している方は少ないかもしれません。このセクションでは、緩和ケアの定義や目的について解説し、その本質に迫ります。

緩和ケアの定義と目的

緩和ケアは、がんの治療の過程で生じるさまざまな苦痛を和らげ、患者さんとそのご家族の生活の質を向上させることを目的としたケアです。WHO(世界保健機関)は、緩和ケアを以下のように定義しています。

緩和ケアとは、生命を脅かす病気を持つ患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的・精神的・社会的な問題を早期に発見し、的確な評価と対応を行うことによって、苦痛を予防し、和らげ、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を最大限に高めるアプローチである。

つまり、緩和ケアは、がんの治療だけではなく、患者さんの心と体の両方を支える包括的なケアなのです。治療の段階に関わらず、がんと診断された時から、必要に応じて提供されます。

緩和ケアの対象となる症状

緩和ケアは、がんによる様々な症状に対応します。具体的には、以下のような症状が緩和ケアの対象となります。

  • 身体的な症状: 痛み、吐き気、倦怠感、呼吸困難、食欲不振など
  • 精神的な症状: 不安、抑うつ、絶望感、不眠など
  • 社会的な問題: 仕事や経済的な問題、家族との関係性、将来への不安など

これらの症状は、がんの治療中だけでなく、治療後や終末期にも現れる可能性があります。緩和ケアは、これらの症状を和らげるために、薬物療法や精神的なサポート、社会的な支援など、様々な方法で患者さんを支えます。

緩和ケアを受けられる場所

がんと診断された後、どのように緩和ケアを受けられるのか、具体的に見ていきましょう。緩和ケアは、患者さんの状態や希望に応じて、様々な場所で提供されています。

緩和ケア病棟

緩和ケア病棟は、がん患者さんの心身の苦痛を和らげ、生活の質を向上させることに特化した病棟です。ここでは、専門的な知識と経験を持つ医師、看護師、その他の医療スタッフがチームを組み、患者さん一人ひとりに合わせたケアを提供します。症状緩和だけでなく、精神的なサポートや、家族へのケアも行われます。入院期間は、患者さんの状態によって異なりますが、苦痛が緩和され、自宅での生活が可能になれば退院となります。

緩和ケア外来

緩和ケア外来は、通院で緩和ケアを受けられる場所です。外来では、症状の評価や治療、薬の調整などが行われます。定期的に通院することで、症状の変化に対応し、適切なケアを継続的に受けることができます。また、在宅での療養を希望する患者さんに対して、在宅ケアに関する情報提供や、サポート体制の構築も行います。緩和ケア外来は、患者さんが自宅での生活を続けながら、質の高いケアを受けられるように支援します。

在宅緩和ケア

在宅緩和ケアは、自宅で療養しながら緩和ケアを受けられる方法です。訪問診療や訪問看護を利用し、医師や看護師が定期的に自宅を訪問して、診療やケアを行います。痛みやその他の症状の緩和、服薬指導、食事や入浴のサポートなど、様々なケアを受けることができます。また、家族への指導や相談も行われ、患者さんと家族が安心して自宅で過ごせるように支援します。在宅緩和ケアは、住み慣れた場所で、自分らしい生活を送りながら、必要なケアを受けられるという大きなメリットがあります。

緩和ケアチームとは?

緩和ケアは、患者さんとその家族を支えるために、様々な専門家が連携してチームを組んでケアを行います。このセクションでは、緩和ケアチームの構成、それぞれの役割について詳しく解説します。

チーム構成

緩和ケアチームは、患者さんの多様なニーズに対応できるよう、様々な専門職で構成されています。チームの構成は、病院や施設によって異なりますが、一般的には以下のような職種が含まれます。

  • 医師: 緩和ケア医、または、がん治療を専門とする医師などが中心となり、患者さんの病状の評価や治療方針の決定を行います。症状緩和のための薬の処方なども行います。
  • 看護師: 患者さんの日常的なケアを行い、症状の観察や、服薬管理、そして精神的なサポートを行います。患者さんや家族からの相談にも対応します。
  • 薬剤師: 薬に関する専門家として、薬の適切な使用方法や副作用について説明します。患者さんの状態に合わせて薬の調整も行います。
  • ソーシャルワーカー: 患者さんや家族の抱える経済的な問題や、社会的な問題について相談に乗ります。利用できる制度やサービスの情報提供も行います。
  • 精神腫瘍医/臨床心理士: 精神的な苦痛を抱える患者さんのカウンセリングを行います。必要に応じて、薬物療法も行います。
  • その他: 理学療法士、作業療法士、管理栄養士などがチームに加わることもあります。これらの専門職は、患者さんの身体機能の維持や、食事に関するアドバイスなどを行います。

これらの専門職が連携し、患者さんの心身の苦痛を和らげ、生活の質を向上させるために、それぞれの専門性を活かしてケアを提供します。

チームの役割

緩和ケアチームは、患者さんの様々なニーズに対応するために、多岐にわたる役割を担っています。主な役割としては、以下の点が挙げられます。

  • 症状の評価と緩和: 身体的な痛み、吐き気、呼吸困難などの症状を評価し、適切な薬物療法や、その他の治療法を用いて症状を緩和します。
  • 精神的なサポート: 不安や抑うつなどの精神的な苦痛を和らげるために、カウンセリングや精神療法を提供します。必要に応じて、精神科医と連携して薬物療法も行います。
  • 社会的な支援: 仕事や経済的な問題、家族関係の問題など、患者さんが抱える社会的な問題について相談に乗ります。利用できる制度やサービスの情報提供も行います。
  • 家族へのサポート: 患者さんの家族に対して、病状の説明や、介護方法に関するアドバイスを行います。家族の精神的な負担を軽減するためのサポートも行います。
  • 情報提供: 患者さんや家族に対して、病気や治療に関する情報を提供します。治療の選択肢や、今後の見通しなどについて説明し、意思決定を支援します。
  • 連携: 他の医療機関や、地域の医療・福祉サービスとの連携を行います。患者さんが、適切なケアを継続して受けられるように支援します。

緩和ケアチームは、患者さんとその家族が、安心して治療を受け、より良い生活を送れるように、多角的なサポートを提供します。

緩和ケアで受けられるケア

身体的ケア

緩和ケアでは、がんによる身体的な苦痛を和らげるために、様々なケアが行われます。主なものとして、痛み、吐き気、呼吸困難、便秘など、患者さんの抱える症状に合わせた薬物療法が挙げられます。医師は、患者さんの状態を評価し、適切な鎮痛薬や制吐薬などを処方します。また、薬物療法に加えて、放射線療法や手術、神経ブロックなどの治療法が用いられることもあります。これらの治療法は、症状の緩和だけでなく、がんの進行を遅らせる効果も期待できます。

身体的ケアには、症状を和らげるだけでなく、患者さんの生活の質を向上させるためのサポートも含まれます。例えば、栄養士による食事指導や、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションなどが行われます。これらのサポートは、患者さんができる限り自立した生活を送れるように支援します。また、褥瘡(床ずれ)の予防やケア、口腔ケアなども、身体的ケアの重要な要素です。これらのケアは、患者さんの身体的な苦痛を軽減し、快適な生活を支えるために不可欠です。

精神的ケア

がんと診断された患者さんは、不安や抑うつ、絶望感といった精神的な苦痛を抱えることがあります。緩和ケアでは、これらの精神的な苦痛を和らげるために、様々なサポートを提供します。精神腫瘍医や臨床心理士によるカウンセリングは、患者さんの心のケアの中心となるものです。患者さんは、専門家との対話を通じて、自分の気持ちを整理し、心の負担を軽減することができます。必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法も行われます。

精神的なケアは、患者さんだけでなく、その家族にとっても重要です。家族は、患者さんの病気や治療について、不安や悩みを持つことがあります。緩和ケアチームは、家族に対しても、病状の説明や、精神的なサポートを提供します。家族が安心して患者さんを支えられるように、情報提供や相談支援を行います。また、グリーフケア(悲嘆ケア)も、重要な精神的ケアの一つです。患者さんを亡くされたご家族の悲しみを和らげ、心の回復を支援します。

社会的ケア

がん患者さんは、治療や療養生活の中で、仕事や経済的な問題、家族関係、社会的なつながりなど、様々な社会的な問題に直面することがあります。緩和ケアでは、これらの問題に対しても、様々なサポートを提供します。ソーシャルワーカーは、患者さんやその家族の相談に応じ、利用できる制度やサービスの情報を提供します。例えば、医療費助成制度や、障害者手帳、介護保険サービスなど、様々な制度の活用を支援します。

また、患者さんが社会的なつながりを維持できるよう、様々なサポートが行われます。例えば、患者会や、地域交流イベントへの参加を促したり、ボランティアによるサポートを提供したりします。患者さんが、自分の役割を失うことなく、社会の中で自分らしく生きられるように支援します。さらに、患者さんが、治療と仕事の両立を目指せるよう、職場との調整や、休職・復職に関するアドバイスなども行われます。社会的なケアは、患者さんが、より豊かな生活を送るために不可欠な要素です。

看取りケアとの違い

緩和ケアと看取りケアは、どちらも終末期ケアの一環ですが、その目的と提供されるケアの内容に違いがあります。以下では、それぞれのケアの違いについて解説します。

看取りケアとは

看取りケアは、回復の見込みがない患者さんが、残された時間を安らかに過ごせるように支援するケアです。人生の最終段階におけるケアであり、患者さんの身体的・精神的な苦痛を和らげ、尊厳のある最期を迎えられるようにサポートします。看取りケアは、病院、ホスピス、または自宅など、様々な場所で提供されます。

緩和ケアとの違い

緩和ケアは、がんと診断された時から始まり、治療と並行して行われるケアです。一方、看取りケアは、病気の治療が終了し、回復の見込みがないと判断された段階から提供されます。つまり、緩和ケアは、病気の進行度に関わらず、患者さんの生活の質を支えることを目的としていますが、看取りケアは、終末期における患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を最大限に高め、最期までその人らしく生きられるように支援することに重点を置いています。

ケア内容の違い

緩和ケアでは、身体的な症状だけでなく、精神的な苦痛や社会的な問題にも対応します。一方、看取りケアでは、身体的な苦痛の緩和に重点が置かれ、患者さんが安楽に過ごせるように、痛みのコントロールや呼吸困難の緩和などが行われます。また、精神的なサポートとして、患者さんの不安や恐怖を和らげるためのカウンセリングや、グリーフケア(悲嘆ケア)なども提供されます。看取りケアは、患者さんだけでなく、家族へのサポートも重要であり、精神的な支えや、死別後のグリーフケアなども行われます。

提供場所の違い

緩和ケアは、病院の緩和ケア病棟、外来、在宅など、様々な場所で受けることができます。一方、看取りケアは、緩和ケア病棟やホスピス、または自宅で受けることが一般的です。自宅での看取りケアを希望する場合は、訪問診療や訪問看護などのサポート体制を整える必要があります。

目的の違い

緩和ケアは、患者さんのQOLを向上させることを目指し、治療と並行して行われます。看取りケアは、患者さんが尊厳を持って最期を迎えられるように支援することを目的としています。

緩和ケアの費用と制度

緩和ケアを受けるにあたって、気になるのが費用と、利用できる制度についてです。ここでは、緩和ケアにかかる費用と、それらを支援する制度について解説します。

 緩和ケアにかかる費用

緩和ケアにかかる費用は、受けられる場所や治療内容によって異なります。例えば、緩和ケア病棟に入院した場合は、入院費、治療費、食事代などがかかります。健康保険が適用されるため、自己負担額は所得によって異なりますが、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を軽減することができます。緩和ケア外来や在宅緩和ケアの場合は、診察料や訪問看護料などがかかります。こちらも、健康保険や、場合によっては医療扶助制度などが適用されます。

緩和ケアは、がん治療と並行して行われることが多く、がん治療と同様に、医療費控除の対象となります。医療費控除を受けることで、所得税の還付を受けることができます。また、生命保険やがん保険に加入している場合は、保険金が支払われることもあります。これらの制度を有効に活用することで、費用に関する負担を軽減することができます。

利用できる制度

緩和ケアにかかる費用を支援する制度は、いくつかあります。代表的なものとしては、高額療養費制度、医療費控除、そして、各自治体による医療費助成制度などがあります。高額療養費制度は、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担額の上限が定められています。医療費控除は、1年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得から控除される制度です。所得税の還付を受けることができます。各自治体によっては、がん患者を対象とした医療費助成制度を実施している場合があります。これらの制度を利用することで、医療費の自己負担額を軽減することができます。

その他、傷病手当金や、障害年金などの制度も、場合によっては利用できる可能性があります。傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ場合に、給与の一部を補償する制度です。障害年金は、病気やケガによって障害を負った場合に、年金が支給される制度です。これらの制度を利用することで、生活費の負担を軽減することができます。

費用の相談窓口

緩和ケアにかかる費用や、利用できる制度について、詳しく知りたい場合は、医療ソーシャルワーカーや、がん相談支援センターに相談することができます。医療ソーシャルワーカーは、医療費や、社会福祉制度に関する相談に対応します。がん相談支援センターは、がんに関する様々な相談に対応する窓口です。専門の相談員が、費用のことだけでなく、治療や、生活に関することなど、様々な相談に乗ってくれます。これらの相談窓口を利用することで、自分に合った制度や、サポートを見つけることができます。費用の問題で悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、積極的に相談してみましょう。

相談窓口

緩和ケアに関する悩みや疑問を解決するために、頼りになる相談窓口についてご紹介します。一人で悩まず、専門家や相談できる人に話すことで、精神的な負担を軽減し、より良い療養生活を送るためのヒントが得られます。

がん相談支援センター

がん相談支援センターは、全国の病院に設置されており、がんに関する様々な相談に対応しています。専門の相談員が、患者さんやそのご家族からの相談を受け、情報提供や心のケアを行います。治療のこと、費用のこと、生活のことなど、どんなことでも相談できます。相談は無料で、電話や面談で受け付けています。

  • 相談できる内容:
    • がんの診断、治療に関する疑問
    • 治療費や、利用できる制度について
    • 今後の生活や、仕事に関する不安
    • 家族や、周囲の人との関係性
    • 緩和ケアについて

医療ソーシャルワーカー

医療ソーシャルワーカーは、病院や診療所などの医療機関に所属しており、患者さんやその家族の抱える様々な問題について相談に乗ります。医療費や社会福祉制度に関する相談、退院後の生活に関する相談など、幅広い問題に対応します。患者さんが安心して治療を受け、療養生活を送れるように、多角的なサポートを提供します。

  • 相談できる内容:
    • 医療費や、経済的な問題
    • 利用できる社会福祉制度について
    • 退院後の生活に関する不安
    • 家族との関係性
    • 介護保険サービスについて

その他の相談窓口

上記以外にも、様々な相談窓口があります。例えば、各都道府県や市区町村が運営する相談窓口、NPO法人や患者会などが運営する相談窓口などがあります。インターネット検索や、病院の相談窓口などで情報を収集し、自分に合った相談窓口を見つけましょう。

  • 主な相談窓口:
    • 各都道府県・市区町村の相談窓口
    • NPO法人や患者会
    • 電話相談窓口
    • オンライン相談窓口

相談する際の心構え

相談する際には、自分の気持ちや、知りたいことを整理しておくことが大切です。事前に質問事項をメモしておくと、スムーズに相談できます。また、相談員は、患者さんの話を親身に聞き、一緒に解決策を考えてくれます。遠慮なく、自分の悩みや不安を伝えてください。

相談窓口は、患者さんやその家族にとって、大きな支えとなります。一人で抱え込まず、積極的に相談してみましょう。

家族ができること、家族へのサポート

がんと診断された患者さんを支える家族は、患者さんの心身の苦痛を理解し、適切なサポートを提供することが重要です。ここでは、家族ができること、そして家族が利用できるサポートについて解説します。

患者さんの話を聞く

患者さんが抱える不安や悩みは、人それぞれです。まずは、患者さんの話をじっくりと聞き、気持ちを理解しようと努めましょう。話を聞く際には、批判や否定をせず、共感的な態度で接することが大切です。患者さんの気持ちを理解しようと努める姿勢は、患者さんの安心感につながり、心の支えとなります。患者さんが安心して話せる環境を整えることが、良好な関係を築く第一歩です。

治療への理解と協力

治療に関する情報を理解し、患者さんと共に治療方針を決定することも、家族の大切な役割です。医師の説明をよく聞き、疑問点があれば質問し、患者さんが納得して治療を受けられるようにサポートしましょう。治療に伴う副作用や、生活上の注意点についても理解し、患者さんの日常生活を支えることが重要です。例えば、食事の準備や、服薬のサポートなど、患者さんの状態に合わせて適切なサポートを行いましょう。

精神的なサポート

患者さんは、病気や治療に対する不安、将来への絶望感など、様々な精神的な苦痛を抱えることがあります。家族は、患者さんの気持ちに寄り添い、精神的なサポートを提供することが大切です。話を聞いたり、一緒に趣味を楽しんだり、穏やかな時間を過ごすことで、患者さんの心の負担を軽減することができます。また、必要に応じて、専門家(精神腫瘍医や臨床心理士など)のサポートを受けることも検討しましょう。

身体的なサポート

患者さんの身体的な苦痛を和らげるために、日常生活をサポートすることも重要です。例えば、食事の準備、入浴の介助、移動のサポートなど、患者さんの状態に合わせて必要なサポートを行いましょう。痛みがある場合は、適切な体位をとらせたり、マッサージをしたりすることも効果的です。無理をさせず、患者さんのペースに合わせて、できる範囲でサポートを行いましょう。

経済的なサポート

がんの治療には、高額な医療費がかかることがあります。また、治療によって、患者さんが仕事を続けることが難しくなることもあります。家族は、経済的な問題について、患者さんと一緒に考え、解決策を探す必要があります。医療費助成制度や、保険制度、障害年金など、利用できる制度について調べ、積極的に活用しましょう。また、経済的な負担を軽減するために、家族で協力し、支え合うことも大切です。

家族自身のケア

患者さんを支えることは、家族にとっても大きな負担となることがあります。家族自身の心身の健康を保つために、休息を取り、気分転換をすることも大切です。一人で抱え込まず、他の家族や友人、専門家などに相談することも有効です。地域の相談窓口や、家族会などを利用して、情報交換をしたり、悩みを共有したりすることもできます。家族が心身ともに健康であることで、患者さんをより長く、より良く支えることができます。

サポート体制の活用

患者さんと家族だけで抱え込まず、様々なサポート体制を活用しましょう。医療ソーシャルワーカーは、医療費や社会福祉制度に関する相談に乗ってくれます。訪問看護や、訪問介護などのサービスを利用することで、患者さんの日常生活をサポートすることができます。がん相談支援センターでは、治療や生活に関する様々な相談に対応しています。これらのサポート体制を積極的に活用し、患者さんと家族が安心して療養生活を送れるようにしましょう。

まとめ:緩和ケアを理解し、より良い生活を

緩和ケアについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。がんと診断された患者さんやご家族にとって、緩和ケアは、身体的・精神的な苦痛を和らげ、より良い生活を送るための大きな支えとなります。

この記事で、緩和ケアの定義、目的、受けられる場所、チーム構成、ケア内容、費用、相談窓口など、様々な情報について理解を深めることができたかと思います。しかし、緩和ケアは、決して特別なものではありません。がんと診断されたすべての方が、等しく利用できる権利があります。ご自身やご家族だけで抱え込まず、積極的に相談し、緩和ケアを生活に取り入れてみましょう。

より詳しい情報や、個別の相談を希望される場合は、がん相談支援センターや、医療ソーシャルワーカーにご相談ください。そして、緩和ケアを理解し、ご自身と大切な方の生活の質を向上させましょう。

         

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